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ハリオ V60 NEO ドリッパーレビュー — 日本の専門家・一般ユーザーの使用記で見る本当の違い

Benjamin J 2026年6月13日 7分で読めます

2005年に登場し、世界中のハンドドリップの標準となったハリオ V60。そのV60が、20年を経て初めて本格的な後継モデルを発表しました。名前はV60 ドリッパー NEO。日本では2025年9月に発売されるやいなや店舗ごとに品切れ騒動を巻き起こし、発売直後にはiFデザインアワード2026まで受賞して話題になりました。ところが、いざ使ってみた人たちの反応は「さすが名品」から「思ったより難しい」まで、かなり分かれます。日本の専門家による実測比較と、一般ユーザーの率直な試行錯誤レビューを集め、NEOが実際どんなドリッパーなのかをまとめました。

ハリオ V60 ドリッパー NEO 正面
マットブラックのトライタンボディに、ハンドルをなくしたV60 ドリッパー NEO。20年ぶりのV60後継作だ。

WHAT IS IT20年ぶりに変わったV60、何が変わったのか

NEOは従来のV60の哲学をそのまま受け継ぎつつ、外観と内部構造の両方を設計し直したモデルです。最も目を引く変化は3つ。第一に、内部のリブ(水路の溝)が72本の極細スパイラルリブに増え、底付近で9本に収束する構造(登録実用新案)に変わりました。第二に、象徴的だったハンドルがなくなり、分離式のシリコンベースが付きました。第三に、素材が熱を奪われにくいPCT樹脂(トライタン)に統一されました。ハリオは2年にわたるテストの末、「水が最も速く効率的に落ちる構造」を見つけ出したと説明しています。

ひと目で見るスペック

リブ極細スパイラル72本 → 底部9本に収束
素材PCT樹脂(トライタン)
形状ハンドルなし · 分離式シリコンベース
サイズ01(1〜2杯) / 02(1〜4杯)
01 重量·口径約150g · 108mm
互換性既存のV60ペーパーそのまま · スイッチ互換
価格約1,980円(01、調査時点)
受賞·発売iF·Red Dot 2026 / 日 2025.9·米 2026.1
V60 NEO 製品とパッケージ
SCAJ 2025で初公開された後、日本で先行発売され、アメリカには2026年1月に入ってきた。

KEY FEATURES核心は結局「72本のリブ」

NEOを定義するただ一つの変化を挙げるなら、間違いなくリブです。従来のV60が比較的太いらせん状のリブで中央に水路を作っていたのに対し、NEOは壁面全体に極細リブをびっしり巡らせ、水が一方に溜まらず壁に沿って均一に流れるよう促します。その結果、抽出が速くなり、雑味の少ないクリーンで透明感のあるカップが得られるというのがハリオの説明です。

🌀
72→9 リブ構造

壁面全体に水を分散させて均一に流し、底部9本のリブで最後の過抽出を抑える。

🔥
トライタンの保温性

熱伝導率が低く、抽出中に本体へ熱が逃げにくい。軽くて割れる心配もない。

🤝
スイッチ互換

本体とベースが分離し、ハリオの浸漬式ドリッパー「スイッチ」と組み合わせてハイブリッド抽出が可能。

♻️
既存ペーパー互換

専用フィルターは不要。使っているV60ペーパー(01/02)をそのまま使える。

V60 NEO 内部の極細スパイラルリブのクローズアップ
壁面をびっしり巡る極細スパイラルリブ。ペーパーと壁の間隔を精密に保って水路を作る。
V60 NEOを上から見た様子、リブが底の抽出口へ収束
上から見ると、72本のリブが底の抽出口へ向かって9本に集まる。

2つのサイズ — 01と02

NEOは1〜2杯用の01と、1〜4杯用の02の2種類で展開されます。一人で1〜2杯淹れて飲むなら01、家族で一緒に飲んだり一度に複数杯淹れたりするなら02が無難です。後述しますが、実はNEOの真価は「複数杯を一度に淹れるとき」にこそ、よりはっきり表れます。

V60 NEO 01と02のサイズ比較
左が01(1〜2杯)、右が02(1〜4杯)。形は同じで容量だけが違う。

ハンドルを捨てた代わりに得たもの

ハンドルがなくなったのは好みが分かれるポイントです。サーバーやカップの上に安定して載り、収納もすっきりした代わりに、淹れた直後は本体が熱いのでシリコンベースをつかんで扱う必要があります。一方、この分離式ベースのおかげでハリオ「スイッチ」と組み合わせ、浸漬式・ハイブリッド抽出まで広げられるようになりましたが、実際のユーザーの間ではこの組み合わせをNEOの隠れた魅力に挙げる人が多いです。

🧩
分離式シリコンベース

サーバー·カップ上での安定性↑、収納もすっきり。ただし熱いときはベースをつかむ必要がある。

⚖️
軽いトライタン

01で約150g。キャンプ·旅行用としても負担が少ない。

V60 NEO 本体とシリコンベースが分離した様子
本体とベースが分離する。この構造のおかげで浸漬式「スイッチ」と組み合わせられる。

EXPERT REVIEW日本の専門家による実測比較

「速くなった」とは誰でも言います。問題はどれだけ、そして味はどう変わるのかです。日本のホームブリューイング検証ブログ家淹れ珈琲研究所(zatsulabo)は、同じ豆・同じレシピ(豆15g、湯250g、1:16.6、92℃、蒸らし40秒後に3投、各3回平均)で旧型V60とNEOを並べて淹れ、数値を直接計測しました。結果を表にまとめると次のとおりです。

項目(3回平均)旧型V60V60 NEO
湯落ち(落下完了)1分18秒0分54秒
総抽出時間2分58秒2分34秒
TDS(濃度)1.37%1.36%
抽出収率(EY)19.4%19.3%
酸味4.03.8
苦味2.52.3
甘味3.74.0
クリーンさ3.84.2
ボディ3.53.4
出典:家淹れ珈琲研究所(zatsulabo)実測。時間·TDS·収率は測定値、官能項目は5段階の強度を基準とした所有者の主観評価。

核心は明確です。湯落ちはNEOが約24秒速かったが、濃度(TDS)と収率(EY)はほぼ同じでした。つまり同じレシピなら「より速く落ちるだけで、濃さと抽出効率そのものは大きく変わらない」という意味です。代わりに質感の方向性が分かれました。NEOは甘味とクリーンさが微妙に上がったすっきりした味わい、旧型V60は酸味とボディが少し強い果実感寄りでした。検証を行ったブロガーの結論は「旧型V60に不満がなければ急いで替える必要はなく、速い湯落ちとクリーンな質感をもう一台持ちたい人におすすめ」でした。

専門家の結論まとめ — 「NEOは旧型V60の完全な上位互換ではない。濃度·収率はほぼ同じで、ただ湯落ちが速く、甘味·クリーンさはNEO、酸味·ボディは旧型のほうだ。より濃く淹れたいかどうかではなく、どんな質感が好きかで選ぶのが現実的。」

もう一つの日本のレビューメディアROOMIEの1か月使用記も方向性は似ていました。同じレシピ(12.5g·200ml)で比較したところ、旧型V60は3分12秒、NEOは2分38秒と30秒以上速く、NEOはより細かく挽いて成分を均一に引き出せるため甘味とバランスが際立ったといいます。このレビュアーは「強烈に弾ける味を楽しみたいときは旧型V60、甘味と透明感を生かしたいときはNEO」と使い分けていると整理しました。特に浸漬式「スイッチ」との組み合わせ、そして速い抽出に特化した新型「メテオ」フィルターとの相性を強く推奨していました。

V60 NEOでコーヒーが速く抽出される様子
湯落ちが速いのがNEOの最も確実な特徴。多バッチほどこの長所がはっきりする。

REAL-USER REVIEW一般ユーザーの率直なレビュー

専門家の実測が「違いは小さいが確かにある」という方向だったとすれば、毎日自分で淹れて飲む一般ユーザーのレビューはもう少し生々しいものです。SCAJ 2025で結局買えず、東京都内の店舗で苦労して手に入れたあるユーザー(noteブロガー「うだつ」)は、2週間近く毎日抽出を試した後、こう書いています — 「正直、予想より抽出が難しい。」

「スイートスポットが狭く、旧型V60より気を使うことが多い。リブが増えた分、コーヒー層を通らず横壁に逃げる『サイドバイパス(チャネリング)』の比率が増え、抽出が短くなったとも言える。」

— noteユーザー「うだつ」の2週間使用記(要旨まとめ)

彼の診断はこうです。最近のスペシャルティカフェでよくある「ティーライクで華やかな果実感」を家で再現するなら、NEOは確かによく合い、レシピの手間も少なくて済みます。ところがそこにボディ感を足そうとした瞬間、難易度が急激に上がります。サイドバイパスの比率が旧型より高くなるため、狙った濃度が出なかったり、濃度は合っていてもバランスが追いつかなかったりするケースが多かったとのことです。

それでもこのユーザーの最終評価は「むしろ非常に満足」でした。理由は多バッチ(複数杯を一度に淹れること)ではすでに最強だから。朝に2〜3杯(300〜450ml)を一度に淹れて保温ボトルに入れて飲むのですが、旧型V60では抽出が4分を超えて無駄に苦いコーヒーになりがちだったのが、NEOではよほど挽き目を外さない限り3分台で終わるというのです。量が増えるほどコーヒー層の体積が大きくなり浸透比率が増えるため、サイドバイパスの問題もあまり気にならなくなったといいます。

ユーザーが見つけたNEO抽出のコツ4つ

① 中途半端な極細挽きは禁物 — 旧型比(コマンダンテ基準)で1〜2クリックだけ細かく。
② 蒸らし時間を長く — 最低40秒、豆が耐えるなら60秒まで。
③ 「土手」を崩さないこと — 崩すなら、いっそ強めに撹拌。
④ 後半の低温切り替えは不要 — NEOでは最後まで高効率抽出を保つほうが良かった。

VERDICTでは、誰に合うのか

こんな点が良い

  • 湯落ちが確かに速い(実測で約24秒)
  • 甘味·クリーンさが生きたすっきりしたカップ
  • 過抽出の雑味が出にくい安定した設計
  • 軽くて割れず、保温性の良いトライタン
  • 多バッチに特に強く、スイッチとの拡張性
  • 既存のV60ペーパーをそのまま使用

こんな点は留意

  • 1杯抽出のスイートスポットがやや狭い
  • サイドバイパス管理が旧型より難しい
  • ボディ感の強いカップを作るのは難しめ
  • ハンドルがなく、熱いとき扱いにくい
  • レシピがまだ十分に確立されていない
買う価値あり

甘味·透明感中心のクリーンなカップが好きな人、あるいは複数杯を一度に素早く淹れる人。軽さ·保温性·スイッチ拡張に価値を感じ、最新の正統進化をコーヒー一杯の値段で試してみたい人。

今のままで十分

今の旧型V60の味に満足している人。ガラス·陶器など素材·形状の好みがはっきりしている人。レシピで味を作るタイプで、ドリッパーの違いを大きく求めない人。

手でV60 NEOを持った様子
コーヒー一杯の値段(約1,980円)で試せる、20年ぶりの正統進化。

まとめると、NEOは「旧型を置き換える上位互換」というより、性格がはっきり異なるもう一つの選択肢に近いです。速い湯落ちとクリーンな甘味が気に入っていて、しかも一度に複数杯をよく淹れるなら、値段の割に満足度が高いです。逆に濃く重厚なボディを愛していたり、すでに手に馴染んだレシピがあったりするなら、あえて急ぐ理由はありません。ただ一つだけ確かなことがあります — 20年ぶりに出たこのドリッパーは、少なくとも一度は自分で淹れて比べてみる価値が十分にあります。

参考資料
  • 家淹れ珈琲研究所 — 旧V60·NEO 実測比較: zatsulabo.com
  • ROOMIE — V60 NEO 1か月使用記: roomie.jp
  • note(うだつ) — V60 NEO 2週間の試行錯誤レビュー: note.com
  • HARIO公式 — V60 Dripper NEO 製品ページ: globalhario.com

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